「瘀血(おけつ)」って何?
「瘀血」は、漢方医学で3000年以上前から使われてきた言葉です。 「瘀(お)」には「滞る・詰まる」という意味があり、 血の流れが悪くなった状態を指します。
ちょっと古い言葉のように聞こえるかもしれませんが、 実はこの「瘀血」の状態、現代医学で言う動脈硬化や末梢動脈疾患(足の血管が細くなる病気)と ほぼ同じ病態です。 東洋と西洋、まったく別々に発展してきた医学が、 同じ体の問題を別の言葉で表現していたのです。
こんな症状、心当たりはありませんか?
瘀血の状態になると、血の流れが悪い場所を中心にさまざまなサインが現れます。 特に心臓から遠い「足」に症状が出やすいのが特徴です。
なぜ血は「滞る」のか
血管はもともと、しなやかで内側がつるりとした管です。 しかし年齢とともに、また食生活や運動不足・喫煙・血糖値の乱れなどが重なることで、 血管の内側に少しずつ汚れ(プラーク)がたまっていきます。
血管が細くなると、血液が流れにくくなる。 血液が届かなくなった組織は、じわじわと栄養や酸素が不足していきます。 これが「足が冷える」「傷が治りにくい」「歩くと痛い」という症状として現れてくるのです。
動脈硬化は単に「血管が固くなる」だけでなく、血管の内側で慢性的な「炎症」が 起き続けている状態でもあります。 この炎症が長く続くと、血管がもろくなったり、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。 炎症を早めに知ることが、血管を守るための第一歩です。
当院の「瘀血スクリーニング」で何がわかるか
「なんとなく足が冷える」「疲れやすい」という段階では、 普通の健康診断では異常が出ないことも多いです。 当院では、血管の状態をより早い段階でつかむための検査を行っています。
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EPA/AA比(血液検査)
血管の「炎症を起こす力」と「炎症を抑える力」のバランスを数値で確認します。 この比率が低いほど、血管内の炎症が進んでいる可能性があります。 コレステロールや血糖の検査では見えない、血管の「内側の状態」を知ることができます。 -
hsCRP・HbA1c・脂質4項目(血液検査)
炎症のレベル(hsCRP)、過去2〜3か月の血糖の平均(HbA1c)、 善玉・悪玉コレステロールや中性脂肪(脂質4項目)を同時に測定します。 血管リスクを多角的に把握できます。 -
問診(足の症状を丁寧に確認)
足の冷え・しびれ・歩いたときの痛みや違和感など、 日常の小さな変化について時間をかけて伺います。 血液検査と合わせることで、より正確な状態の把握につながります。
すでに動脈硬化・糖尿病・高血圧と診断されている方はもちろん、 「まだ何も言われていないけど心配」という方の予防的な血管チェックとしても受けていただけます。
検査の後は? ―― 4つのアプローチを組み合わせる
スクリーニングで血管の状態を確認したうえで、 当院では下記の4つの治療法を状態に合わせて組み合わせています。 どれか一つに頼るのではなく、体質・生活・症状の程度に応じて 「東洋と西洋の知恵を両方使う」というのが当院のスタンスです。
瘀血の改善に用いられる漢方薬には、血の流れをよくする「駆瘀血薬(くおけつやく)」と呼ばれる処方があります。 体を内側から整え、冷えやすい・疲れやすいといった体質そのものにアプローチします。 副作用が少なく、長期的に続けやすいのが特徴です。
少量の血液を採取し、オゾンを加えて体内に戻します。 オゾンの働きで赤血球が柔らかくなり、細い血管の先まで血液が届きやすくなります。 また血管内の慢性的な炎症を抑え、自己修復力を引き出す効果も期待できます。 ヨーロッパでは広く行われている治療法です。
腕に専用のカフ(帯)を巻いて、血流を一時的に止めてから解放することを数回繰り返します。 これだけで体が「血流が足りない」と感知し、血管を広げる物質を自然に出すようになります。 針も点滴も不要で、椅子に座ったまま受けられる、体への負担がとても少ない治療です。
血管が傷む原因のひとつが「酸化ストレス」、つまり体のサビです。 α-リポ酸・グルタチオン・高用量ビタミンCを点滴や内服で補うことで、 細胞レベルのサビを除去し、血管の壁を守ります。 疲労回復・肌のくすみ改善を実感される方も多いです。
まとめ:3000年前の知恵が、現代の血管医療と重なっていた
「血が滞ると体が不調になる」という観察を、漢方は「瘀血」と名付けて3000年前から 治療の中心に置いてきました。 現代医学は画像や血液検査でそれを「動脈硬化」「血流障害」と呼び、 メカニズムを解明しています。
言葉は違っても、体に起きていることは同じ。 「なんか最近、足が冷えるな」「疲れが抜けないな」と感じたら、 それは血管からのサインかもしれません。早めにご相談ください。
※本コラムは健康情報の提供を目的としたものであり、特定の疾患の診断・治療を目的とするものではありません。 症状が続く場合や気になる方は、医師にご相談ください。
「足が冷える」「なんか疲れやすい」。こういった訴えは、健康診断では引っかからないことが多く、 「気のせいでしょう」で終わってしまいがちです。 でも漢方が3000年かけて積み上げてきた「瘀血」という概念は、 まさにそういった「数値には出ない体のくすぶり」を捉えようとしていたのだと思います。 血管は痛みを感じにくい臓器です。気づいたときには相当進んでいた、ということが多い。 だからこそ早めの「見える化」が大切で、それが当院の瘀血スクリーニングの目的です。